「一見さんお断りって本当ですか?」京都祇園の舞妓さんとのお座敷遊びQ&A

Smartlog編集部 2017.11.19
「一見さんお断り?」「お座敷遊びっていくらかかるの?」気になる京の祇園遊びQ&A。

知られざるお座敷遊びの世界の疑問を、聞いてみた

伝説の舞妓と呼ばれる岩崎究香(いわさき・みねこ)氏に、知られざる京都祇園のお座敷遊びの世界を聞いてみました。「お座敷遊びって何をするの?」「価格は?」「舞妓さんと芸妓さんの違いって?」など、知っておきたい、京都祇園のお座敷遊びのQ&A!


Q1. お座敷遊びって何をするんでしょうか。全体の流れを教えてください。

芸舞妓
  1. お茶屋に到着
  2. 主旨に合わせて席次を決める(正客、お相伴、亭主)
  3. 歓談
  4. 芸・舞妓さんの配膳
  5. 主客ご挨拶
  6. 亭主半東
  7. 乾杯
  8. 宴会始
  9. 約1時間後、歌舞音曲のご披露
  10. 亭主ご挨拶
  11. 解散

こちらがお座敷の大体の流れです。

簡単に解説すると、先ず、お客様が馴染みのお茶屋さんに連絡を入れて、その日にお招きするお客様のことをお茶屋さんの女将さんに相談します。その会の主旨(テーマ)次第で、お茶屋さんが芸・舞妓さんが所属する置屋に連絡を入れて、芸・舞妓さんを確保します。お茶屋さんにて、お料理を芸・舞妓さんが配膳し、主客のご挨拶と共に宴が始まります。約1時間後に歌舞音曲のご披露があり、その後は歓談やゲームなどをして楽しみます。大体ですが、このような流れです。


Q2. 座敷遊びでよくやる遊びを教えてください。

言葉遊び、チヤリ舞ですね。
時勢によって、遊びは変わります。


Q3. お座敷はいくらかかるんでしょうか?

お座敷

宴会の時間(16:00~20:00)は大体、15分6,000円ぐらいで2時間ならば48,000円ですが、それには食事代とご祝儀が付きます。(ちなみに、芸・舞妓さんがタクシーで移動する時間も換算されます。)祇園甲部の料金は、15分おきの料金だということも知っておくといいでしょう。何人かのグループで頭割りをすれば安くつきます。祇園甲部のお茶屋さんのお座敷は、席料を請求されます。祇園甲部に限らず京都の舞妓さんは、半玉さんやお酌さんではないので、一人前の芸妓さんと同じ料金がかかることも知っていてください。

賢い遊び方をするのであれば、何度かお座敷を使ってお茶屋さんと芸・舞妓さんをご贔屓にしてから、お馴染みになったお茶屋さんに二次会から出掛けると、安く遊ぶことが出来ます。


Q4. 舞妓さんと芸妓さんの違いは何でしょうか?

舞妓さんは未成年で、芸妓さんは20歳過ぎです。また、舞妓さんは地毛で芸妓さんはかつらです。衣装、装身具一具にも違いがあります。


Q5. 舞妓さんや芸妓さんはどうやったらなれるのでしょうか?

芸舞妓

現在では、地元の者がいないので地方からの人達が芸・舞妓さんを務めています。舞妓さんになるには、先ず井上流に入門して、置屋(屋形)に仕込みとして預かって貰います。人によりますが、色々な修行を経て早ければ1年で店出し(お披露目)が出来る人もいます。祇園甲部の芸・舞妓さんが通う学校は、学校法人「八坂女紅場学園」の中の「祇園女子技芸学校」と呼ばれていますが、芸・舞妓さんや祇園町の人達の間では、通称の「女紅場(にょこうば)」と呼んでいます。(私達は訛って、「にょ~こば」と言っています。)


Q6. 舞妓さんや芸妓さん、置屋、お茶屋さんは、それぞれどういうビジネスモデルで回っているのでしょうか?

置屋

お茶屋さんは、お座敷を提供します。
置屋(屋形)は、芸・舞妓さんを店出し出来るように仕込み、仕込みさんから芸・舞妓さんに店出しをした人のマネージメントをします。
芸・舞妓さんは、歌舞音曲でお客様をおもてなしします。

先ず、お客様が馴染みのお茶屋さんに連絡を入れて、その日、お招きするお客様の件をお茶屋さんの女将さんに相談します。お茶屋さんは、お客様のご所望によって芸・舞妓さんの所属する置屋に連絡を入れて、芸・舞妓さんを確保します。確保できた時点で、仕出し屋さんかお料理屋さんに予約を入れます。TPOを踏まえてお茶屋さんはお座敷の設えをします。お客様がお座敷に上がられます。仕出し屋さんのお料理を芸・舞妓さんが配膳します。と言うような段取りです。


Q7. 舞妓さんや芸妓さんと恋に落ちることはありますか?
個人的に、私も落ちました!!!


Q8. どんなお客様が来ていますか?
社用族、国賓、観光客がメインのお客様です。


Q9. 舞妓さんや芸妓さんって昼間は何をしてるんでしょうか?

芸舞妓

午前中はお稽古。お昼ごはんを食べると少し自由時間があるので、自分の興味のあることの追求か、女紅場で習えない事のお稽古、買い物、雑用をしております。


Q10. 一言さんお断りって本当ですか?本当ならば、なぜですか?
本当です。なぜなら次の4つの価値観を大切にしているためです。
1. 信用に足るか
2. 信頼出来るか
3. ラグジュアリー
4. 価値ある時間の演出を共有して貰える人か


Q11. 紹介制じゃないお座敷もあるんでしょうか?あるなら場所を教えてください。
あります。観光客相手のものがそれです。祇園甲部にはありませんが、ビアガーデン(上七軒、宮川町)なら誰でも入れます。


Q12. 「ここは人生で一度は行っておくといい!」という有名座敷(有名お茶屋)を教えてください!

舞妓

それぞれに良さがあって、なかなか一口にはご紹介できません。肝心なことは、何処のお座敷でもお客様の格が何もかもを作り出します。年数が長いだけでは、良いお料理屋やお茶屋のお座敷とは言えません。心地の良いお座敷があれば、それは格の高いプライドにかなったお座敷と言えます。


Q13. 我々客はどんな姿勢で臨めばいいのでしょうか。「こんな振舞いのお客さんは素敵」という人物像があれば教えてください。

  1. 初手は全てを任せる。
  2. 下の話はしない。(下衆だと思われる。)
  3. 恋愛話はしない。(薄っぺらだと思われる。)
  4. 芸・舞妓さんは職業婦人で、恋愛の相手ではない。
  5. 同僚と思ってお付き合いをする。

こういった姿勢のお客様は素敵だなと思います。


監修者紹介

岩崎究香

岩崎究香(いわさき・みねこ)旧名・芸妓名は岩崎峰子
1949年 京都生まれ。15歳で舞妓デビュー、6年連続売上ナンバーワンとして活躍し「100年に1人の名妓」と呼ばれる。贔屓筋に、Hondaの創業者である本田宗一郎を始め、多くのトップビジネスパーソンを持った。
作家としては、自伝『芸妓峰子の花いくさ』、『祇園の教訓 昇る人、昇りきらずに終わる人』『祇園の課外授業』などがあり、花柳界の伝統や文化を国内外に向けて発信している。


【参考記事】岩崎究香さんが語るトップに立つ人の共通点とは▽

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